葉隠入門



三島由紀夫著「葉隠入門」読了。
『武士道といふは、死ぬ事と見つけたり』の句で有名な、武士道における覚悟を説いた山本常朝の修養書「葉隠」に、三島由紀夫が解釈を加えた作品。
三島由紀夫が加えた解釈については別にどうという感想はもたなかった。が晩年の彼がこの葉隠に影響を受けていることは感じ取れる。
この葉隠で面白いのは、その書の中で矛盾した内容があってもそれを否定しないところだ。ある見方からすれば正しいことでも、別の視点からみれば正しくない、大事なのは〇か×かを決めることではなく、正しい判断を下そうとする『心構え』をしっかり持つことだ、と言っているように感じた。
あくびのこらえ方だとか酒の飲み方だとか、ユニークな処世訓も多く書かれていて、単純に読むには面白いけど、個人的に人生論だとか、私はこうやって人生成功した、みたいな本は好きじゃないので(なにをエラそーなこと書いてんだ、同じニンゲンじゃないか、と思ってしまう)、とくに得られるものはなかった。
ところで、ジム・ジャームッシュという監督の「ゴースト・ドッグ」という映画が、「葉隠」を愛読する一風変わった黒人の殺し屋の物語らしい。観てみたい。
(画像クリックでアマゾンから購入できます)