朽ちた樹々の枝の下で

osamu2003-03-24

真保裕一著「朽ちた樹々の枝の下で」読了。
北海道富良野で森林作業員をする男が、ある日未明の森の中で女性と出くわす。崖から転落し意識を失った彼女を救出するものの、病院から逃げられてしまう。女性を捜し真実を突き止めるため調査を始めるが、そんな彼の周りで不可解な事故が起こり始める・・・。
特殊な職業、特に公務員関係を題材にサスペンスを描くのは真保裕一がもっとも得意とするところ。今回も林野庁の下請けである森林組合の作業員が主人公。捜査が少しずつ進むものの、真相がなかなか見えてこない展開は、ついつい先を読みたくなってしまう。
うーん、でも彼の他の作品と比べると今一歩かな。事件の解決と、主人公自身がひきずる悲しい過去との決別、この2つがいっしょくたに交わっていくのが真保裕一作品の好きなところなんだけど、今回はそのあたりの書き込みがちょっと甘かったような。ラストのほうの展開もちょっと急ぎすぎで、消化不良ぎみか。
個人的には林野庁営林局に友人が勤めているので、この方面の職業にはやや馴染みがあって身近に感じられた。